「フェア―ルジュエリー」に変えました。
春色の候、皆様いかがお過ごしですか?
さて、突然ですが、表題の件・・・。
「アートワイヤージュエリー」と標榜して約20年経ちますが、誠に勝手ながら、この2025年3月13日より「フェア―ルジュエリー」と変更することにいたしました。(それに伴い、略称のAWJはFAJとなります)
「フェア―ル」とは、ショウヨリコが考案した、英語とフランス語を組み合わせた造語です。
フランス語でワイヤーの事を「フィル」、英語で空気を「エアー」、フランス語で芸術の事を「アール」と言います。そこで、「ワイヤーで作った、空気のように軽やかで自由な芸術」という意味をこめて「フェア―ル」と名付けました。
アートワイヤージュエリーという名称を世の中に浸透させようと20年も標榜しておきながら、なぜ今になって変えるのか?と、自問自答もしましたが、ある弁理士さんとの出会い、ネーミングのお話を聞いているうちに、
「思いついちゃった」・・・!!!
んですね。・・・Σ(゚д゚lll)
言葉の成り立ちは前述したとおりですが、その他にも・・・。
偶然ではありますが、「フェア―ル」という響きの中には、公平の「フェアー」もあります。
私の中では、ジュエリーというものが一部の富裕層のものだけの芸術であっては欲しくない、という思いがあります。手仕事への情熱こそが貴重なものであり、物質としての希少性や財産性だけでその価値を測ることへの違和感を解消してくれる言葉にも思えるのです。
また、これも偶然ですが「フェア―ル」は「フェアリー」にも似ています。
妖精を肉眼で観たことはないですが、どこかこの世離れした感じの、夢のような世界を表現出来たらいいなと思っています。
ちなみに、「アール」は「アール・ヌーヴォー」のアールと同じ意味です。アール・ヌーヴォーとは、19世紀末から20世紀初頭にヨーロッパで流行した美術様式で、「新しい芸術」を意味します。画家のアルフォンス・ミュシャ、ガラス工芸のエミール・ガレ、宝飾作家のルネ・ラリックなどが有名で、花・植物・昆虫など、自然界にあるモチーフを緩やかな曲線で組み合わせたデザインが特徴です。
私はアール・ヌーヴォーに憧れたり心酔しているわけではないのですが、自分の中から表現するものが、どうもアール・ヌーヴォーに親和性があるようで、観ていると共感を覚えます。
そもそも「アール・ヌーヴォー」が生まれた背景には、浮世絵など日本の美術がヨーロッパにもたらされた影響が根源にあるようです。
なので、日本人の私がヨーロッパのアール・ヌーヴォーに影響されたというより、日本人特有の感性の表現を素直にしていたら、必然的に、日本趣味から派生したアール・ヌーヴォーと親和性を感じるのだと理解しています。
以上のことから、ワイヤーの「フィル」、空気の「エアー」、芸術の「アール」、公平の「フェアー」、妖精の「フェアリー」などを想起させる「フェア―ル」という造語は、私が今まで作ってきた作品世界を表現するのにぴったりな言葉だなと腑に落ちています。
思い起こせば、私の作品を見たお客さんから「これは何?」と言われたときに、ビーズアクセサリーでもなく、ジュエリーでもなく、いわゆるワイヤーアクセサリーとも思えず、なんと言っていいのかわからなくてずーっとモヤモヤしていました。そのモヤモヤを解消すべく、「アートワイヤージュエリー」と称するようになっていましたが、あまりにも一般的な言葉の羅列にすぎず、オリジナル性に欠けていました。
それが昨今、ある弁理士さんからネーミングについて学ぶ機会があり、自然に「そういえばフランス語でワイヤーって何て言うんだろう?」という疑問が湧き、そこからあれよあれよという間に言葉が思いつき、視界が一気に広がった感じがします。
この「視界が一気に広がった感じ」は、初めてワイヤーで指輪を作った時や、初めてシリコン素材を発見した時にもありました。それらは私の人生にとってとてつもなく重要なものとなりました。この「フェアールジュエリー」という言葉の発見も、今後の人生における大きな節目になると感じています。
「フェア―ルジュエリー」は単に私一人のブランド名にはとどまらず、一つの手芸の「ジャンル」として、ショウヨリコ個人を超えて多くの人に愛される文化の一つになったらいいなと思います。
以上、ずいぶん堅い感じのお話になっちゃいましたが(^^;)、20年もの間ご愛顧いただいていた「アートワイヤージュエリー」や「AWJ」を別のものに変えるには、ちゃんとした説明が必要だと思い、書かせていただきました。
最後までお読みいただきありがとうございます!
今後は「フェア―ルジュエリー」略して「FAJ」をどうぞよろしくお願いします。